コースごとに強い馬は違うのよ

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ライバルを輝かせる最強のバイプレイヤー

ビワハヤヒデ

3強でクラシックを分け合った最初で最後の世代

ビワハヤヒデ

クラシックの足音が聞こえてくると、"3強"というフレーズがよく使われる。平成に入って初めての3強は、平成5年組のビワハヤヒデ、ウイニングチケット、ナリタタイシンの3頭だった。それまでも3強と呼ばれることはあったが、平成5年組の3頭は3冠をそれぞれ分け合うというミラクルを起こして見せた。
TTGの場合、グリーングラスは皐月賞に出走していないし、ダービーを勝ったのはクライムカイザーだった。タケシバオー、アサカオー、マーチスのときはタケシバオーが菊花賞に出ていない。
メジロライアン、メジロマックイーン、ホワイトストーンのときも、クラシックを勝ったのはマックイーンだけだし、マックイーンは皐月賞に出ていない。皐月賞、ダービー、菊花賞の3レースに、3強が揃って出走することすら難しいなか、3強でクラシックを分け合うなんて雲をつかむような話である。
平成5年組は、皐月賞をナリタタイシン、ダービーをウイニングチケット、菊花賞をビワハヤヒデが勝ち、いずれのレースも3強で1番人気~3番人気を独占した。
この世代を代表していったのが、菊花賞を制したビワハヤヒデだった。菊花賞、天皇賞(春)、宝塚記念に勝ち、皐月賞、ダービー、有馬記念を2着、レース中に故障を発症した天皇賞(秋)以外はオール連対という、ほぼパーフェクトな実績を残している。誰もが認める名馬であるが、ビワハヤヒデには善戦マンのイメージが強い。


相手の光を消さない受け身の名優

ビワハヤヒデは勝ち星を重ねながら、ライバルたちの光を消すことをしなかった。マルゼンスキーやディープインパクト、シンボリルドルフのように圧倒的な力でライバルをねじ伏せ、ライバルを作らず名馬になったのとは真逆である。
ダービーは、3強対決よりウイニングチケット騎乗の柴田政人騎手がダービーを勝てるかどうかに競馬サークルの興味は注がれていた。ダービーウィークの各新聞も、そちらばかりをあおっていた。ウイニングチケットが1番人気におされたのも、それら報道の影響にある。さて、ビワハヤヒデはというと、ウイニングチケットを見るかたちで中団につけ、直線では先に抜け出したウイニングチケットを残り200mの地点で捕まえた。いったんはかわしたものの、ウイニングチケットの最後のひと伸びで、半馬身差の2着に終わった。騎手の執念の半馬身ともいわれ、ウイニングと柴田騎手のドラマを脇から支えた。
また、トウカイテイオーが奇跡の復活を遂げた有馬記念。菊花賞を制したビワハヤヒデは、1番人気で出走していた。直線抜け出したビワハヤヒデに襲いかかるテイオー。粘るビワハヤヒデを、テイオーが半馬身退けたところがゴールだった。場内が「テイオー」コールで満たされるなか、ここでもビワハヤヒデは脇役だった。
そして年が明けると、弟のナリタブライアンに話題をかっさらわれた。

ウイニングチケットを語るときにも、トウカイテイオーを語るときにも、負かした相手がビワハヤヒデだからこそ彼らのドラマはいっそう際立つのである。ビワハヤヒデが強いからこそ、彼らの強さも映えるのである。
最強馬なのにバイプレイヤー。後にも先にも、こんな特殊な名馬は現れない。

父:シャルード
母:パシフィカス(母父:Northern Dancer)
16戦10勝
主な勝ち鞍
93’菊花賞(G1) 93’有馬記念(G1) 94’天皇賞(春)(G1) 94’宝塚記念(G1)
日付 開催 レース 頭数 馬番 着順 人気 騎手 斤量 距離 馬場 タイム 通過 勝馬
(2着馬)
1994/10/30 4東京8 天皇賞(秋)(G1) 13ト 2 5着 1人 岡 部 58 芝2000 1.59.1 3-3-3 ネーハイシーザー
09/18 4中山4 オールカマー(G2) 8ト 8 1着 1人 岡 部 57 芝2200 2.14.5 2-2-2-1 (ウイニングチケット)
06/12 5阪神8 宝塚記念(G1) 14ト 13 1着 1人 岡 部 56 芝2200 2.11.2 4-3-3-1 (アイルトンシンボリ)
04/24 4阪神2 天皇賞(春)(G1) 11ト 11 1着 1人 岡 部 58 芝3200 3.22.6 2-2-2-2 (ナリタタイシン)
02/13 2阪神6 京都記念(G2) 10ト 6 1着 1人 岡 部 59 芝2200 2.16.8 2-2-2-2 (ルーブルアクト)
1993/12/26 5中山8 有馬記念(G1) 14ト 13 2着 1人 岡 部 55 芝2500 2.31.0 4-3-2-2 トウカイテイオー
11/07 6京都2 菊花賞(G1) 18ト 7 1着 1人 岡 部 57 芝3000 3.04.7 2-3-3-1 (ステージチャンプ)
09/26 4阪神6 神戸新聞杯(G2) 9ト 1 1着 1人 岡 部 56 芝2000 2.02.9 2-2-2-2 (ネーハイシーザー)
05/30 3東京4 ダービー(G1) 18ト 7 2着 2人 岡 部 57 芝2400 2.25.6 7-7-5-5 ウイニングチケット
04/18 3中山8 皐月賞(G1) 18ト 18 2着 2人 和 田 58 芝2000 1.59.9 5-6-5 ナリタタイシン
03/20 2中山7 若葉S 8ト 8 1着 1人 岡 部 56 芝2000 2.00.9 3-2-2-2 (ケントニーオー)
02/14 1東京6 共同通信杯(G3) 9ト 1 2着 1人 57 芝1800 1.48.7 4-4-5 マイネルリマーク
1992/12/13 5中山4 朝日杯3歳S(G1) 12ト 7 2着 1人 54 芝1600 1.35.5 8-3-2 エルウェーウィン
11/07 5京都1 デイリー杯2歳S(G2) 9ト 8 1着 1人 54 芝1400 1.21.7 5-4 (テイエムハリケーン)
10/10 4京都1 もみじS 10ト 8 1着 1人 53 芝1600 1.34.3 3-3 (シルクムーンライト)
09/13 4阪神2 新馬 14ト 4 1着 2人 53 芝1600 1.38.3 6-4-4 (テイエムシンザン)
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