コースごとに強い馬は違うのよ

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極限状態でしか力を発揮しないクセ馬

ヒシミラクル

潜在能力に気付いたターニングポイント

ヒシミラクル

G1を3勝しながら、ムラ馬のインパクトがありすぎて名馬と呼ばれることの少ないヒシミラクル。重賞勝ちは、菊花賞、天皇賞(春)、宝塚記念とG1だけ。前哨戦ではことごとく負けている。
さらに、未勝利を脱出するまでに10戦も要しており、勝ち上がった未勝利戦も5番人気にすぎなかった。そんなヒシミラクルが自身の力に気付いたのが、初重賞となった菊花賞である。
1番人気は皐月賞馬のノーリーズン。ヒシミラクルは、なんとか抽選をクリアして10番人気の低評価だった。
スタート直後にノーリーズンが落馬する波乱の菊花賞は、ペースを作ると思われていた武豊騎手(ノーリーズン騎乗)がいなくなり、かなりの乱ペースとなった。ローエングリン、シンデレラボーイがハイペースを作り上げ、人気のメガスターダムやバランスオブゲームもちぐはぐな競馬。長距離線にしては珍しく、どの馬も息を入れるヒマもないくらいの厳しい展開となってしまった。
ヒシミラクルは3角からまくり気味にあがっていき、乱ペースに巻き込まれたかと思いきや、直線で先頭に立つと自慢のスタミナが爆発し最後まで粘り込み勝利をもぎ取った。この菊花賞で、ヒシミラクルは、他馬に厳しい極限状態のレースの土壇場で発揮する力に気付いたのである。

強豪をねじ伏せ名馬の仲間入り

菊花賞後、有馬記念、阪神大賞典、大阪杯と大敗を続けたヒシミラクルは、天皇賞(春)に駒を進めたものの7番人気の低評価だった。アルアランが平均ペースで逃げるなか、ヒシミラクルは1番人気ダイタクバートラムをマークするように中団から後方の位置。淡々とレースが進むなか、真っ先に動いたのがヒシミラクルだった。
平均ペースで流れるレースを、ヒシミラクルは自分が動くことで先行集団を潰しにかかり、さらに同位置にいたダイタクバートラムにプレッシャーを与えたのである。4角で先行集団にとりつき、直線に入るとヒシミラクルの独壇場となった。スタミナにものをいわせ、食い下がるダイタクバートラム、サンライズジェガーを振り切り重賞2勝目をG1で飾った。
レース後、鞍上の角田騎手は「中距離でも頑張る」と、すでに次走の宝塚記念を見据えていた。
その宝塚記念には、前年の有馬記念を制した同期の年度代表馬シンボリクリスエスをはじめ、ダービー馬ネオユニヴァース、G1・6勝馬アグネスデジタル、ほかにもタップダンスシチーなど強豪が揃っていた。ヒシミラクルは6番人気だった。
距離不足を懸念されたヒシミラクルは、直線に入っても中団8番手。菊花賞や天皇賞のようにまくってレースを支配することができなかった。やはり長距離のようなレース運びができないとダメかと思われたが、そこからの爆発力は次元が違った。
先に抜け出したシンボリクリスエスを並ぶ間もなくかわすと、タップダンスシチーを競り落とし、追いすがるツルマルボーイをクビ差しりぞけたところが栄冠のゴールだった。

その後、京都大賞典で2着に入りいよいよ安定して力を発揮できるようになったが、屈腱炎で1年の休養を挟むと、以降の復活はならなかった。
サッカーボーイの後継として種牡馬入りしたものの、サンデー旋風には勝てずに4年あまりで引退することになった。ヒシミラクルの土壇場で発揮される力を後世にも、との願いは果たされなかった。

父:サッカーボーイ
母:シュンサクヨシコ(母父:シェイディハイツ)
28戦6勝
主な勝ち鞍
02’菊花賞(G1) 03’天皇賞(春)(G1) 03’宝塚記念(G1)
日付 開催 レース 頭数 馬番 着順 人気 騎手 斤量 距離 馬場 タイム 通過 勝馬
(2着馬)
2005/05/01 3京都4 天皇賞(春)(G1) 18ト 8 16着 3人 角 田 58 芝3200 3.18.3 3-3-4-3 スズカマンボ
02/19 2京都7 京都記念(G2) 12ト 8 3着 5人 角 田 60 芝2200 2.16.1 8-8-10-9 ナリタセンチュリー
2004/12/26 5中山8 有馬記念(G1) 15ト 11 14着 6人 角 田 57 芝2500 2.31.3 2-2-2-3 ゼンノロブロイ
11/28 5東京8 ジャパンカップ(G1) 16ト 11 9着 11人 角 田 57 芝2400 2.25.6 4-4-3-2 ゼンノロブロイ
10/31 4東京8 天皇賞(秋)(G1) 17ト 14 16着 10人 角 田 58 芝2000 2.02.7 13-14-13 ゼンノロブロイ
2003/10/12 4京都2 京都大賞典(G2) 9ト 9 2着 2人 角 田 59 芝2400 2.26.8 2-2-2-2 タップダンスシチー
06/29 3阪神4 宝塚記念(G1) 17ト 10 1着 6人 角 田 58 芝2200 2.12.0 11-10-9 (ツルマルボーイ)
05/04 3京都4 天皇賞(春)(G1) 18ト 11 1着 7人 角 田 58 芝3200 3.17.0 11-9-7 (サンライズジェガー)
04/06 2阪神4 大阪杯(G2) 15ト 6 7着 8人 角 田 59 芝2400 1.59.6 12-10-10 タガノマバッハ
03/23 1阪神8 阪神大賞典(G2) 15ト 7 12着 5人 角 田 58 芝3000 3.07.0 12-7-8 ダイタクバートラム
2002/12/22 5中山8 有馬記念(G1) 14ト 3 11着 5人 角 田 55 芝2500 2.34.2 14-14-11 シンボリクリスエス
10/20 4京都6 菊花賞(G1) 18ト 2 1着 10人 角 田 57 芝3000 3.05.9 14-7-2 (ファストタテヤマ)
09/22 4阪神6 神戸新聞杯(G2) 16ト 8 6着 7人 角 田 56 芝2000 2.00.4 15-14-13 シンボリクリスエス
09/08 4阪神2 野分特別(1000万) 8ト 2 1着 1人 角 田 55 芝2000 2.02.0 4-4-2-2 (エルウェースター)
08/04 2函館8 洞爺湖特別(1000万) 16ト 13 3着 2人 四 位 54 芝2000 2.04.5 11-14-14 プレジオ
07/20 2新潟3 佐渡特別(1000万) 9ト 5 3着 1人 角 田 54 芝2200 2.13.2 4-4-3-3 プレシャスソング
06/22 3阪神3 売布特別(500万) 18ト 13 1着 3人 角 田 53 芝2200 2.12.6 5-5-4-2 (ブローサム)
06/08 2中京7 ぶっぽうそう特別(500万) 15ト 15 2着 1人 角 田 55 芝2000 2.01.7 9-7-6-4 アクトナチュラリー
05/26 2中京4 未勝利 18ト 15 1着 5人 角 田 55 芝2000 2.00.5 8-8-3-2 (メイショウノビノビ)
05/04 3京都6 未勝利 18ト 3 6着 2人 安田康 55 芝1800 1.48.5 17-16 サフランブリザード
04/20 3京都1 未勝利 18ト 17 4着 7人 安田康 55 芝1800 1.48.5 9-8 ホシノササヤキ
2001/11/04 5京都2 未勝利 16ト 9 3着 2人 角 田 54 芝1800 1.49.7 9-8 ナムラサンクス
10/21 4京都6 未勝利 15ト 4 2着 10人 角 田 53 芝1800 1.48.8 11-12 フジヤマワイルド
10/07 4京都2 未勝利 8ト 8 5着 6人 角 田 53 芝2000 2.03.3 8-8-7 チトセサクセス
09/23 4阪神6 未勝利 13ト 1 9着 10人 角 田 53 芝12400 1.12.1 11-10 セトノアケボノ
09/08 4阪神1 未勝利 12ト 9 8着 9人 角 田 53 芝1200 1.11.2 11-10 ヤマニンイデアル
08/25 3小倉5 新馬 18ト 11 11着 10人 角 田 53 芝1200 1.12.3 18-17 マイネルプレーリー
08/11 3小倉1 新馬 13ト 11 7着 9人 角 田 53 芝1200 1.13.0 10-10 リバートレジャー
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