【名馬コラム】サダムパテック　普段の姿からは想像できない出遅れ常習犯

普段はおとなしいのに、なぜ出遅れるんだ

サダムパテックといえば、皆さんはどんなイメージを浮かべるだろうか。

低迷期の武豊騎手を支えた賢馬だろうか。

怪物オルフェーヴルがいなければクラシックも勝てたんじゃないかと思わせる末脚自慢だろうか。

私にとって、サダムパテックは出遅れの常習犯である。とにかく出遅れる。生涯30戦のうち、15戦で出遅れている。なんと50%の確率で出遅れるのだ。やりすぎだ！

それだけならいいのだが、サダムパテックは強かったものだから、こちらとしても困るのだ。出遅れ覚悟で馬券を買わなきゃならない。馬券を買うにもひやひやものである。

サダムパテック陣営の話を聞いていると、なんで出遅れるのかわからない。普段はとてもおとなしく、のんびり屋さんでぼーっとしていることが多いのだそうだ。とても利口な馬で、人にも優しく手がかからない。出遅れてかかりまくるレース中のサダムパテックからは、とてもじゃないが想像できない。

ちなみに、出遅れて勝ったのは東スポ杯2歳S、弥生賞、京王杯SCの重賞3つ。出遅れた皐月賞も、オルフェーヴルの2着である。

ホント、普段のままで走ってくれたらと思わずにいられない。ただ、もし本当にそうなったら、それはもうサダムパテックではないのかもしれない。

完勝のマイルCSでその実力を証明する

サダムパテックのGI勝ちは、2012年のマイルCS。鞍上は武豊騎手である。この頃、武豊騎手は落馬による大けがによって、過去最悪ともいえる低迷時期にあり、23年連続JRAGI勝利も前年で途切れ、この年は過去最低の56勝に留まった。

そんな武豊騎手を復活の軌道に乗せたのが、サダムパテックのマイルCS制覇だった。

ここからは、個人的な感想です。あくまでも個人的な感想なので、ホントに誹謗中傷はやめてください。メンタルぺらぺらなので、めっちゃ落ち込みます。

個人的には、23年も連続でGI勝ってるなら、1年くらいいいじゃん。過去最低っていっても56勝してるならいいじゃん。もちろん武豊騎手が勝ったのは素晴らしいことだけど、もっとサダムパテックを誉めてあげてよ！

なんか、主役を武豊騎手にもっていかれたような気がして、サダムパテックに同情すら覚えました。

そのマイルCSは、安田記念、天皇賞（秋）と連敗していながら4番人気。ファンの皆さまは、サダムパテックの強さを信じていた。

レースは、珍しくゲートも決まり、1枠1番の利を生かして経済コースのインピッタリを追走。「外からのプレッシャーによく耐えてくれました。直線半ばで余力たっぷり。これは勝っただろう、いやこうなったら勝たなきゃいけない」（武豊騎手談）と、追いすがるグランプリボスを振り切って、堂々のGI初勝利をあげたのである。

これがサダムパテックの実力だ。そうなんだ、彼はやっぱり強いんだ！

かくいう私は、サダムパテックを見限ってリアルインパクトから馬券を買ってうなだれていた。それでも、サダムパテックがようやく強さを証明できたんだから良かったじゃないか。

負け惜しみである。