史上最も人気がなかった二冠馬(言い過ぎ)
人気がなかった皐月賞馬と聞いて、どの馬を思い出すだろうか。ノーリーズンとかダイワメジャーとかだろうか。
人気がなかったダービー馬と聞いて、どの馬を思い出すだろうか。ロジャーバローズなんかがそうだろうか。
では、人気がなかった二冠馬といえばどうだろうか。
サニーブライアンしかいないだろう。ずーっと昔には皐月賞を16番人気で勝ったカツトップエースという二冠馬がいたが、ダービーでは3番人気である。サニーブライアンは、皐月賞が11番人気で、ダービーが7番人気。皐月賞馬がダービーで7番人気というのも、かなり珍しい。
なんで、ここまで人気がなかったのか。皐月賞で人気がなかったのは仕方ない。重賞未勝利で、前走は若葉S4着である。人気がないのも納得できる。ダービーでも人気が出なかったのは、その皐月賞が人気薄の逃げ切り勝ちとフロック視されていたのが大きな要因だろう。
さらに、ダービーでは大外の18番を引いてしまったのも、人気を落とすことになった。しかし、鞍上の大西騎手は、抽選会で18番を引いて満面の笑みを浮かべていた。というのも、他馬を気にするサニーブライアンが逃げるには、ごちゃつかない大外が一番だと思っていたからだそうで、まさにその通りの結果となった。
弱い世代のお山の大将ではない。同期には、サイレンススズカやステイゴールド、メジロブライト、シルクジャスティスらが名を連ねている。人気はなかったが、サニーブライアンの実力にはケチのつけようがない。
鞍上・大西直宏騎手の騎手人生を一変させる
サニーブライアンといえば、デビューからずっと乗り続けていた鞍上・大西直宏騎手も忘れてはならない。
騎乗スキルには定評があったものの、口下手で寡黙な男だった。エージェント制が確立される前の時代でもあり、騎乗馬を確保するのに難儀していた。
実際、この年(1997年)のダービーが4勝目。その内、3つはサニーブライアン(ジュニアC、皐月賞、ダービー)である。つまり、ほとんど勝てていない。ちなみに、前年(1996年)は8勝しかできていなかった。
ところが、ダービーを勝ってから騎乗依頼が増え続け、翌1998年には騎乗数が300を超えた。8勝しかできなかった1996年のじつに2.5倍である。
大西騎手は「ダービーを勝ってから、落ち着いて乗れるようになりました。小回りの福島でも、道中動かずにいる余裕を持てるほど」と言っており、たしかにダービー以降で騎手人生が一変したといっていい。
サニーブライアンは、ダービー後の放牧中に骨折してしまう。翌年のAJCCでの復帰を目指していたが、今度は屈腱炎を発症し、引退を余儀なくされた。
大西騎手は「その後、GIを含め、重賞もいくつか勝ちましたが、あのダービーほどの気迫を持って乗れたレースはひとつもなかった。あの一戦でやり尽くした」と語っている。サニーブライアンも同じだったのだろう。
あの一戦でやり尽くしてしまったのだ。
1997/006/01 東京 日本ダービー 芝2400m 良 | 1着 | 大西 57キロ 18頭 6人 2.25.9(1-1-1-1) (シルクジャスティス) |
1997/04/13 中山 皐月賞 芝2000m 良 | 1着 | 大西 57キロ 18頭 11人 2.02.2(2-2-1-1) (シルクライトニング) |
1997/03/22 中山 若葉S 芝2000m 重 | 4着 | 大西 56キロ 16頭 1人 2.04.3(4-2-4-5) シルクライトニング |
1997/03/02 中山 弥生賞 芝2000m 良 | 5着 | 大西 55キロ 14頭 5人 2.03.3(4-4-2-3) ランニングゲイル |
1997/01/18 中山 ジュニアC 芝2000m 良 | 1着 | 大西 55キロ 7頭 4人 2.03.7(1-1-1-1) (トキオエクセレント) |
1997/01/06 中山 若竹賞 芝2000m 重 | 2着 | 大西 55キロ 16頭 4人 2.04.7(5-5-4-3) ファンネルマーク |
1996/12/05 中山 ひいらぎ賞 芝1600m 良 | 5着 | 大西 54キロ 15頭 3人 1.37.0(9-7-6) スピードワールド |
1996/11/17 東京 府中3歳S 芝1800m 良 | 7着 | 大西 54キロ 13頭 2人 1.50.6(3-4-2) ゴッドスピード |
1996/11/02 東京 百日草特別 芝1800m 重 | 5着 | 大西 54キロ 12頭 2人 1.50.3(1-1-1) クリスザブレイヴ |
1996/10/05 東京 新馬 芝1800m 良 | 1着 | 大西 54キロ 13頭 3人 1.50.4(1-1-1) (スカラシップ) |